タイトル 仮面ひとり舞台
人は誰もが仮面を被って生きている。自分という仮面を。生涯、それを外すことは許されない。
けれど誰もが仮面と感じてはない。逃れられない現実。人は向き合おうとはしない。
バラはバラだし、カモメはカモメに生まれて生きていく。これを不条理とは思わない。この不思議を受け入れ、人生は成り立つのかもしれない。
幼い頃、大人になれば必ず美しくなれると信じていた。だって物語は、そうだから。事実は違うと知った時は現実の暗闇の中。私らしさの探求を始めなくては。
そこで私は、自分に魔法を掛けた。暗示ではなく、生涯解けることのない魔法。私だって美しい。鏡に映る自分は仮の私。鏡の裏側には、もうひとりの本当の私がいる。
もうひとりの私との対話。私だけが知っている私。
対話は思考となり、発酵し熟成した心の堆肥となる。いつしか私を育む。
ある日、いつも行く洋装店で、年齢不詳の黒い服の女性から声を掛けられた。魔女だったかもしれない。
「美人じゃなくても綺麗な
人っている。あなたは雰囲気美人ね」
美しくとの呪縛は何時しか解けていた。それは私が私に掛けていた呪縛と。
素顔が美しいなんて嘘。違う仮面を着けても私は私で、私以外にはなれない。それで、いい。いいがいい。笑顔も泣き顔でさえ。自由自在に変面すればいい。
例え波乱万丈のステージでも、私の人生は私が主役。